【鳴く虫文化】
日本古来の文化、鳴く虫文化の歴史は大変古く、奈良時代にさかのぼります。
当時貴族の楽しみでした。 よい鳴きの虫を選んで宮中に献上したり、
虫聴き の催しが行われておりましたが、 まだ一般庶民にまでは広が
っていませんで した。 それが江戸時代に入ってからスズムシを売る
人が現れ、庶民の間で広 く鳴く虫が飼育 されるようになり、鳴く虫
一大ブームが沸き起こりました。 鳴く虫はやがてマツムシ、カンタン、
クサヒバリ、キンヒバリ、キリギリス、 クツワムシ などが飼われる
ようになりました。 そして当時既にスズムシの 人工飼育が確立され
、虫を売る人も増えていきました。 天秤棒で担いで鳴く 虫を売り歩く
人の服装が、段々派手になっていったため幕府が規制 する事態 になり
ました。 鳴く虫文化は明治時代に入ってからも衰えず、昭和に入っても
続きました。 しかしその後、テレビゲームなど色んな娯楽の出現、昆虫
はカブトムシや クワガタムシに 主役が移り、鳴く虫文化は衰退してゆき
ました。 私が生まれ 育った大阪でも昭和50年代くらいまで梅田の百貨店
の屋上のペットショップ でスズムシ、マツムシ、クサヒバリ、キリギリ
スなどが売られていました。 クサヒバリは2面が網、もう2面が板で、
幅8センチ、奥行き5センチ、高さ 5〜6センチ 程度の小さな飼育容器
に入れて売られていましたが、売り場に その涼しげな美しい音色が 響き
渡っていました。 今となってはそんな光景も見ることができず、ホーム
センターやペットショッ プなどでスズムシが売られているくらいです。
今では一部の人の楽しみになっ た感がある鳴く虫文化ですが、一部とは
いえ続いているのは 嬉しい限りです。 この素晴らしい鳴く虫の魅力を伝え、
鳴く虫文化を後世に残すことが私の夢であります。
後藤啓
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